香川・高松で相続と不動産に強い税理士 (運営:池田達彦税理士事務所)
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相続税の納税については、現金納付や延納をすることができない場合に限り、相続または遺贈でもらった財産そのもので納める「物納」という納税方法が認められています。
この物納を希望する場合には、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。
物納財産の国の収納価額は、原則として相続税の課税価格計算の基礎となった評価額になります。売却と比べると適用要件は厳しいですが、価格で交渉する必要がないので便利な場合もあります。よって、物納するかどうかは、必ずいくらで売却できるか、信頼できる専門家に確認して、有利不利を判断して下さい。
なお、「小規模宅地等についての特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額となりますので、物納するのは避けたほうがよいでしょう。
次の要件をすべて満たしている場合には物納をすることができます。
①延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
②物納申請財産は、相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、定められた財産及び順位で、日本国内にあるものであること。
③物納できる財産は、管理処分不適格財産に該当しないこと及び、物納劣後財産に該当する場合には、他に物納できる適当な財産がないこと。
④相続税の物納申請期限までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること。
物納が認められない管理処分不適格である不動産とは、次のような不動産をいいます。
①抵当権等担保権の設定の登記がされている不動産
②権利の帰属について争いがある不動産
③境界が明らかでない土地
④訴訟によらねば通常の使用ができないと見込まれる不動産
⑤公道に通じない土地で通行権の内容が明確でないもの
⑥借地権を有する者が不明である等の貸地
⑦耐用年数を経過している建物
⑧敷金等の返還義務のある不動産
⑨管理や処分に要する費用が過大と見込まれる不動産
⑩引き渡しに必要とされている行為がされていない不動産等
他に適当な価額の物納可能な財産がない場合には、例外的に物納劣後財産である不動産であっても物納不適格財産でない限り、物納に充てることができます。たとえば、次のような財産です。
①地上権や小作権、地役権又は入会権等が設定されている土地
②違法建築された建物及びその敷地
③区画整理法による仮換地や使用収益許可がされていない土地
④納税義務者の居住用又は事業用の建物及びその敷地
(納税義務者が物納許可の申請をした場合を除く)
⑤劇場、浴場等の管理に特殊技能を要する建物及び敷地
⑥道路に2m以上接していない土地
⑦開発許可基準に適合しない開発行為にかかる土地
⑧市街化区域以外にある土地、農用地区・保安林等にある土地
⑨建物の建築をすることができない土地
⑩過去に生じた事件等により、正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれに隣接する不動産等
物納不適格財産ほど管理処分できないとは言い切れませんが、非常に売却しにくい不動産です。たとえ、売れたとしても相続税評価額ではなかなか売却できないと思われます。
しかし、劣後であっても物納できない不動産ではないので、これらの不動産の物納を許可してもらうことこそが、有利な納税方法と言えるでしょう。もし、物納劣後財産の物納を望むなら、その場合には、生前に物納要件を充足しておくことが望ましいでしょう。
物納要件は非常に厳しく、相続が発生してから慌てて物納要件を充足しようとしても、申告期限まで10ヶ月しかありませんので、間に合わないケースが多いと思われます。
したがって、金銭が少なく延納も不可能と思われる相続人は、相続が起こる前に物納要件を満たすように次のような事前準備しておくことが必要です。
①抵当権を他の不動産に移し替える
②不動産の権利帰属の争いを終結しておく
③土地の境界を確定しておく
④無道路地に2m以上の道路付けをする
⑤借地権者を確定しておく等の対策を急いで実践しておく
遺産分割もまとまらない状態では延納は困難です。だからこそ、不動産所有者は子たちがどのように相続税を払うのかを生前に検討しておくことが大切です。もし、延納を選択するつもりなら、その場合には、生前に延納できる要件を準備しておくことが望ましいでしょう。
また、持っている金融資産と今後の収入の全てを相続税の納税に充当すると今後の生活に余裕がなく、何とか物納をしたいこともあります。また、相続税評価額では売却できない土地や、建築できない物納劣後財産に該当する土地ならば、ぜひ物納したいと思うでしょう。これらの場合には、遺産分割を一工夫して、その特定の相続人についてはその財産の物納以外に納税の方法がないような遺産分割をするのも賢い方法でしょう。