香川・高松で相続と不動産に強い税理士 (運営:池田達彦税理士事務所)
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底地や借地権などの売却しにくい物件を所有している場合には、それらの難資産を処分して、換金しやすい優良物件や、付加価値の高い物件へと生前に変えておくことが、事前対策の重要なポイントとなります。
底地を所有している地主の立場で考えてみますと、借地権を買い取ったほうがいいのか、あるいは底地を売却したほうがいいのか、迷うところだと思います。換金性も収益性も低い底地ですが、相続税評価額は予想外に高く、驚くほど高額の相続税がかかってきます。納税資金確保に苦労するのは目にみえていますので、どちらにしても早急に決断を下すことが肝要です。
まずは、底地を売却したケースです。底地を売却すると当然、譲渡所得税が生じますが、事前に納税資金を準備することができます。また、その売却資金で新たな土地(更地など処分しやすい土地など)を取得すると、処分しやすい不動産が残るというメリットはありますが、相続税額自体はふくらんでしまうという危険性もはらんでいます。ケースバイケースではありますが、個人的には今後の状況を鑑みると売却できるうちに売却すべきだと考えます。
次に借地権を買い取ったケースです。土地が完全所有の形になりますから、アパートやマンション建設によって高収益物件へと変えるなど、高度利用ができることになります。あるいは更地に近く処分しやすい駐車場などにすることにより、納税用財源とすることも考えられます。
借地権と底地を交換するという手法もあります。借地権の一部と底地の一部を交換することによって、地主と借地人のそれぞれが、面積は減りますが完全な所有権の形での土地を手に入れることができます。交換は譲渡の一種ではありますが、個人が一定の要件を満たした固定資産の交換をしたときは、譲渡がなかったものとする特例があり、税金は課税されません。
固定資産の交換による特例要件は次のとおりです。
①交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも固定資産であること。不動産業者などが販売のために所有している土地などの資産(棚卸資産)は、特例の対象になりません。
②交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも土地と土地、建物と建物のように同じ種類の資産であること。
③交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。
④交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。
⑤交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
⑥交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のいずれか高いほうの価額の20%以内であること。
交換によって完全な所有権の形での土地を入手した後は、有効利用を考えればいいわけです。
また、地主、借地人に第三者を加えて等価交換を行なったり、地主と借地人と共同でほかの人に売却してしまうという方法もあります。
第三者を加えた等価交換とは、ディベロッパーを参加させて行ないます。底地、借地権の価額算定を行なって、敷地に建築する建物の一部と等価で交換しようという共同事業です。地主にとっては、資金負担なしに区分所有の建物を取得できますし、借地人にとっても同様です。こうして取得した建物から賃貸収入を得ることもできますし、また売却することも可能です。
なお、価額査定から各権利者との交渉、事業企画の立案、実施まで、すべてディベロッパーが行ないますから、地主と借地人との関係が多少悪くても、感情論に走ることなく事務的に処理することができるというメリットもあります。
一方、地主と借地人が第三者に売却する場合には、底地と借地権の割合が問題になります。「銭勘定」を「感情論」にしてしまうことなく、話し合いでうまく解決したいものです。感情論に発展しそうな場合は、不動産業者や弁護士などの第三者を間に挟んだ交渉がベストです。借地権を持っている借地人にとっても、地主と同様にこれまで述べた手段で、相続対策を取ることができます。
ただし、こうした対策がうまくいくためには、地主と借地人の日頃の良好なコミュニケーションが前提となります。こうした関係作りも、有効な相続対策の第一歩といっていいでしょう。
ともかく、相手から、「借地権を売りたい」「底地を買い取りたい」とか、「借地権を買いたい」「底地を売りたい」といった申し出があった時には、ひとつのチャンスとして捉えて、多少無理をしても積極的に活用すべきだと考えます。
物納はあくまで最後の手段です。日頃のリレーションによって、友好的な雰囲気のうちに底地の事前処分ができれば、たとえ割安と思われる価格で売却したとしても、結果的には有利になるものです。底地を売却した場合とそうでない場合の相続税額を試算してみると、事前売却のメリットに驚くことが多いはずです。