香川・高松で相続と不動産に強い税理士 (運営:池田達彦税理士事務所)
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被相続人の血族で一定の者(直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹・甥姪)は一定の順位で相続人になれます。そしてその血族は、自然血族と法定血族の2つに区分できます。
さらにその法定血族は下記の2つに区分できます。
(1)普通養子…下記、特別養子以外の養子(民法729条に規定)普通養子は実親・養親の両方の相続権があります。
(2)特別養子…実親の血族との親族関係が終了する縁組(民法817条の2~11に規定)
戸籍上は実子に準じた扱いになります。
特別養子は実親の相続権がなくなり、養親の相続権はあります。
①養親制限 ⇒満25歳以上の夫婦で共に養親
②養子制限 ⇒原則として6歳未満の子供
③同意 ⇒実父母の同意が必要
④親子関係 ⇒実親との親族関係は終了する
⑤戸籍の記載⇒戸籍には養子との記載なし
⑥離縁 ⇒家庭裁判所の審判が必要(民法817条の10)
(1)被相続人に実子がある場合
養子縁組を何人としようと、法定相続人の数は1人分しか増加計算されません。
(2)被相続人に実子がない場合
養子縁組を何人としようと、法定相続人の数は2人分しか増加計算されません。
(3)民法上の制限
民法上は養子の数の制限はありません。理論上は何人でも可能です。
(注)被相続人の養子の数の制限であって、被相続人以外の養子の数の制限ではありませんので、ご留意下さい。
相続人が兄弟姉妹である場合には、その相続人の中に被相続人の親と養子縁組をしたことにより相続人となった者が複数いるときは、「当該被相続人に養子がある場合」に該当しません。全員法定相続人として増加計算されます。
被相続人の養子の数の制限の規定がありますが、下記に掲げる場合は実子ではありません。相続税法上は被相続人の実子とされます。
(1)被相続人の特別養子
(2)被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となった者(連れ子)
被相続人の配偶者の実子で、その配偶者と婚姻期間において被相続人の養子であった者は、下記の①~③の場合が考えられます(相続税法基本通達15-6)。
① 配偶者と婚姻前に被相続人の養子となった者
② 配偶者と婚姻後(かつ離婚前)に被相続人の養子となった者
③ 配偶者と婚姻後(かつ死別後姻族関係を終了する前)に被相続人の養子となった者
(注1)配偶者と離婚後に養子となった者は含まれません。
(注2)配偶者と死別しその婚族関係を終了させた後に養子となった者は含まれません。
(注3)婚姻期間とは
イ.離婚の場合:婚姻~離婚するまでの期間
ロ.死別の場合:婚姻~死別後、姻族関係を終了するまでの期間
通常、死別した場合、上記の婚姻期間は継続しています。しかし、民法728条第2項の手続(戸籍法96条)をすると、配偶者の血族との姻族関係は終了します。
(3)配偶者の特別養子で、被相続人と婚姻後に被相続人の養子となった者
被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の特別養子となった者で、その配偶者と婚姻期間において被相続人の養子となった者は、下記の①、②の場合が考えられます(相続税法基本通達15-6)。
① 配偶者と婚姻後(かつ離婚前)に被相続人の養子となった者
② 配偶者と婚姻後(かつ死別後姻族関係を終了するまで)に被相続人の養子となった者
(4)実子もしくは養子またはその直系卑属が相続開始以前に死亡し、または相続権を失ったため相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)となったその者の直系卑属
相続税法63条「相続税不当減少養子の否認」規定
上記、被相続人の養子の数の制限の(1)養子1人(2)養子2人の数を相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合(租税回避行為と判断した場合)においては、税務署長は、相続税についての更正または決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格および相続税額を計算することができます。
養子縁組をした場合は下記(1)~(4)までの効果がありますが、限定的です。
(1)生命保険金の非課税枠を計算する法定相続人の数の増加
被相続人の死亡により、被相続人が保険料を負担していた生命保険金を相続人が取得した場合、法定相続人の数×500万円を相続税の計算上、非課税にしています。この法定相続人の数が増加しますので、非課税枠が増加し節税になります。
(2)退職手当金等の非課税枠を計算する法定相続人の数の増加
被相続人の死亡により、死亡退職手当金等を相続人が取得した場合、法定相続人の数×500万円を相続税の計算上、非課税にしています。この法定相続人の数が増加しますので、非課税枠が増加し節税になります。
(3)遺産に係る基礎控除の法定相続人の数の増加
① 定額控除 3,000万円
② 法定相続人数控除 600万円×法定相続人
③ ①+②=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
この法定相続人の数が増加しますので、控除枠が増加し節税になります。
(4)相続税の総額を計算する法定相続人の数の増加
相続税の総額の計算は、課税遺産総額を各法定相続人ごとの法定相続分で仮計算します。
この法定相続人の数が増加しますので節税になります。
【例1】正味相続財産額20,000万円
法定相続人配偶者子供実子1人(養子1人)計2人
1,670万円(養子縁組なし)ー1,350万円(養子縁組あり)=320万円(節税額)
【例2】正味相続財産額40,000万円
5460万円(養子縁組なし)-4610万円(養子縁組あり)=850万円(節税額)
(1)現実に生命保険金を受け取った場合
現実にその養子が生命保険金を受け取り、かつ非課税枠の金額の範囲内分は、相続税が非課税となります。
被相続人(祖父・祖母は健在)が一人っ子である長男の子(孫)3人を養子にし、生命保険の受取人を孫3人のみとしていた場合、非課税枠は500万円×3人=1,500万円であり、各人が500万円を受け取った場合、相続税は非課税となります。
(2)現実に退職手当金等を受け取った場合
上記(1)と同じです。
(3)相続税の2割加算の適用の有無
① 被相続人の直系卑属(孫・曾孫等)を養子縁組した場合は2割加算の適用があります。
② ただし、その直系卑属が代襲相続者にも該当する場合は2割加算の適用がありません。
③ 被相続人の直系卑属以外の者を養子縁組した場合は2割加算の適用がありません。
(4)未成年者控除の適用
養子が未成年であった場合、相続税の2割加算の適用の有無に関係なく、全員が未成年者控除の適用を受けられます。
(5)障碍者控除の適用
養子が障害者であった場合、全員が障害者控除の適用を受けられます。
(1)原則
養子は養親の氏(名字)を称さなければなりません(民法810条本文)。この規定があるため、兄弟の子供などを養子にしようとすると、相手は名字の変更を嫌がり、なかなか養子縁組が実現しません。
(2)特例
婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りではありません。(民法810条)。
兄弟の子供(甥・姪)が結婚し、婚姻相手の名字を名乗っている場合、婚姻の際に名字を変更していますので、婚姻の際定めた名字を称すべき間は養親の名字を名乗る必要はありません。
(3)離婚・死亡した場合
離婚すると、婚姻前の名字に復し(民法767・771・749)これと同時に民法810条本文の適用により、直ちに養親の名字を称することになります。
婚姻中の名字を継続する届け出(民法767②・749)をすることもできます。
配偶者が死亡しても名字には変更がありませんが、元の名字に戻る手続きをしますと、婚姻前の名字に戻るとともに、直ちに養親の名字を称することになります。
養子縁組は縁組する者同士の正式な意思表示がなければなりませんので留意して下さい。