香川・高松で相続と不動産に強い税理士 (運営:池田達彦税理士事務所)
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相続が発生した場合に、覚えておくべき大切なことがあります。
相続される財産は、現預金、土地、建物などのようなプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も当然に相続されるということです。
相続は、原則として何もしなければ、被相続人に所属した一身専属権をのぞき、被相続人の権利義務は相続人が相続したとみなされます(単純承認)。被相続人が建てたアパート建築資金の弁済債務に関しては、アパートという収益物件を得られるし、その借入金残高も相続財産から債務として控除できることを考えれば、単純承認したほうが有利なケースもあります。
しかしながら、被相続人が多額の借金を残して亡くなった場合には、相続により相続財産を超えてまでも弁済しなければならないなどの不都合が生じてしまいます。
そのような場合に備え、「相続放棄」、「限定承認」のような制度が認められています。
相続開始から3か月以内に、プラスの財産もマイナスの財産も相続しないことを家庭裁判所に申請することで、初めから相続人とならなかったものとみなされる制度です。この申請が受理されると、相続放棄受理証明書が発行されます。それを相続税の申告書に添付する必要があります。
相続放棄は、それぞれの相続人が単独で行うことができます。
相続放棄により、その者ははじめから相続人とならなかったものとみなされます。従って、代襲相続も発生せず、相続人の構成が変化するため、相続分が変わります。
すべての財産を引き継がない相続放棄とことなり、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことができるという、いわば有限責任を認めるものです。
申請の要件としては、相続開始があることを知った日より3か月以内に、相続人が数人あるときは、共同相続人の全員によって行わなければなりません。
手続きは相続放棄よりも煩雑になります。
申請期限内に相続財産の目録を作ることが必要で、限定承認の申述を行った場合は、5日以内にすべての債権者及び受遺者に対し公告を行い、公告期間終了後、債権者と受遺者に弁済をします。さらに、弁済のために相続財産を売却する必要があるときは競売の方法によらねばならない・・など、限定承認をした相続人にはかなりの負担となります。債権者との利害調整が必要となってきますので致し方ない、といえるかもしれません。
限定承認によって相続した財産について、相続の時に、相続時の価額に相当する金額により譲渡があったものとみなして相続人は譲渡所得税を納めなければなりません(所得税法59条1項)。
この譲渡所得税は相続財産の限度で払えばよいのですが、実際に譲渡したわけでもなく、売買代金の取得もないのに、現金で譲渡所得税を納めなければなりませんし、財産の価額は相続税を計算する時に用いる相続税評価額でなく、時価(実際の取引価額)を用いることになるので注意が必要です。
プラスの財産だけ相続して、借金は絶対に相続したくない。とは誰でも思うところですが、それなりの有利も不利もありますので、手続きの選択の際には専門家に相談して充分な指示を仰ぐことをおすすめします。
さらに、債務に関して注意頂きたい点を2点あげます。
①保証債務は相続されるが控除できない
被相続人が、誰か他人が借金した際の連帯保証人になっていた場合には、その保証債務者たる地位も相続の対象になります。相続時の債務は債務控除という制度があり、相続財産の価額から控除できる決まりになっていますが、この保証債務に関しては、「相続開始時に発生が確実でない」「金額が明らかでない」ことから、明確に控除金額を申告書に記載することができません。相続税上の債務控除のメリットも享受できず、リスクのみ引き継ぐことになります。
②相続放棄を考える場合は相続人の負っている債務にも注目
相続開始時には、被相続人の債務にのみ関心が行きがちですが、相続人の一人が多額の債務を負っている場合も注意して下さい。多額の債務のある相続人の相続分をゼロとする「遺産分割協議書」を作成した場合に、その債権者は異議を唱えることができます。これを詐害行為取消権(民法424条)という制度ですが、この異議に対抗するためにも、多額の債務を負っている相続人に状況をきちんと説明し、本人の了解を得て、「私は一切の財産を相続しません」という相続放棄の手続きをとってもらうことが大切になります。相続放棄による財産分与は詐害行為取消の対象とならない旨、定められています。
遺産分割の結果として相続分ゼロというのと、本人の意思で「相続放棄」をしたうえでの相続財産ゼロというのは、意味が違いますので、注意が必要です。