香川・高松で相続と不動産に強い税理士 (運営:池田達彦税理士事務所)
〒760-0029 香川県高松市丸亀町13番地3 丸亀町参番街東館6F
再開発で全国的に有名な高松丸亀町商店街のほぼ中心にあります
無料相談実施中
お気軽にお問合せください
お気軽にお問合せください
087-823-7755
相続では、遺言がなければ相続人の間で遺産分割協議書を作成することになります。相続人が多ければ多いほど、相続財産の分割は険しい道となります。
遺産分割の場合、1人の相続人の取り分が増えれば他の相続人の取り分が減る事になります。いわゆる利益相反が潜在的に遺産分割には内包されているのです。それを話し合いで行うのであるから、一朝一夕には解決できません。
相続財産が土地や建物であれば簡単に切り分け(現物分割)できません。代償分割(特定の相続人が財産を相続する見返りに、他の相続人に金銭などを与える方法)も、資金繰りの関係もあり、皆平等にとなると難しいものです。遺産分割協議書の印鑑の重みについて考えてみたいと思います。
被相続人が死亡すると、財産(資産と負債)は相続人全員の共有状態となります。遺産分割とは、「共有状態」の財産を相続人の「各人の所有」へ切り替える手続きをいいます。なぜ遺産分割する必要があるかといえば、大きな理由の一つに相続税法上の問題があります。遺産分割をしなければ、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」の適用を享受することができないからです。
相続税の申告期限が相続開始の翌日から10ヶ月以内であることを考えると、遺産分割は速やかに取り掛からなくてはなりません。もちろん未分割でのままで申告することも可能ですが、遺産分割した時と比較して、納税額が非常に増加するので現実的ではありません。短期間のうちに申告書を提出するため、遺産分割はスピーディーに行うことを弁護士等は推奨しています。だからといって、遺産分割協議書にたやすく実印を押すことは避けるべきです。
利益相反が内在する遺産分割協議書に相続人全員が実印を押したら、遺産分割協議書を訂正することは非常に困難です。訂正するには、相続人全員の同意が必要だからです。取り分が他の者より多い相続人は、遺産分割協議書の作り直しに応じないことは容易に想像がつきます。したがって、遺産分割協議書に納得できなければ安易に実印を押すことは避けるべきです。では、遺産分割協議書にどのような財産があるとき安易に実印を押すべきではないのでしょうか。
遺産分割協議書に自社株等の非上場株式が明記されていたら要注意です。中小企業で相続問題が発生したとき、遺産分割協議書の作成を仕切るのは、その企業の顧問弁護士や税理士です。株式評価を適正に評価しないと税務上の問題が発生しますが、会社の経営状態や今後の見通しについては、特定の相続人と弁護士等がスクラムを組めば、いくらでも口裏を合わせることが可能となります。
この言葉を信じて協議書に実印を押したら、その遺産分割協議書を訂正することは、先に説明した通り至難の業となります。このような問題が発生すると、金銭的な禍根を残すだけではなく、家族が崩壊します。トラブルが発生してから優秀な弁護士事務所に駆け込んでも、解決は困難です。それは、相続人たちが納得した上で実印を押したという事実があるからです。
遺産分割協議書に収益物件があったら、次のような弁護士等のアドバイスにも注意が必要です。弁護士等に「収益物件のために銀行から借入をしていて、空室が多くなり元利を返済できないので、ある程度の所得のある長男が引き継ぐべきである」と言われたらどうでしょうか?
また、弁護士等に「この物件は2年か3年で大規模修繕工事をする必要があり、更に借入をしなければならないので、このことも考慮すると長男に相続してもらった方が良いのでは?」と言われたら、その言葉を言葉を信じざるを得ないのではないでしょうか。
もちろん、事実としては空室もなく大規模修繕工事は済んでいる場合には、この物件を相続することについて得はあっても損になることはありません。
このような話が現実に存在するのです。自分の価値ある相続財産を増やすためには、利益相反の理論から他の相続人に諦めてもらうしかないのです。実印を押す前に、自ら調査検討することをお勧めします。
本来なら、遺言書を作成しておけば、このような問題は回避できることです。被相続人が生前に遺言書で財産の分配を決定しておけば、残された家族で憎しみなど生まれることはなかったはずです。
戦争に負けて民法は家督相続から均分相続に転換しました。これによって誰もが権利を主張することになりました。親の面倒を見なくても遺留分を主張する権利が民法で保障されることになりました。
こんな事情から、親の介護をした者には遺言書で相続財産を優先的に分配すべきという意味合いで、配偶者の取得財産や寄与分の見直し、遺言控除等が創設されようとしています。高齢化社会にマッチしない法律は修正していかなければなりません。