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不動産の遺産分割

不動産はいったん相続人の共有物となる

 不動産とは、土地と建物です。

 相続が開始すると相続財産はいったん相続人全員の共有となります(民法898条)。不動産も各自の相続分がその共有持分となります。これを、遺産分割前の共有といいます。

 不動産がいくつあっても個々の不動産がそれぞれ相続人の共有物となり、この段階で各不動産について、相続を原因とする所有権移転の共有登記ができます。共有登記をしなくても、共有物であることに変わりはありません。

 遺産の不動産そのものがすでに共有物の場合もあります。そのときは遺産の共有持分が相続分に従ってさらに分割され、その旨の新しい共有登記がなされます。共有者が多数となれば登記簿には、共有者名簿が添付されます。

 この共有登記手続きは相続人の一人が、単独で(無断で)申請することができます。共有物の保存行為となるからです。相続人の債権者も債権者代位権により共有登記を申請することができます。また、この共有権は譲渡することもできますし、債権者から差押えをすることもあります。また、分割登記を改めてしなくてもかまいません。遺産がその不動産一個という場合は、遺産分割協議により、また、他の遺産だけ分割して、その不動産(たとえば実家の土地)だけ共有のままでおく場合も同じです。

遺産分割協議の成立後、登記する

 遺産分割をすれば、複数の土地を全部共有のままにして置くということはまずありません。持ち分を交換して各不動産を単独所有にする必要が生じます。そのような遺産分割協議が成立した場合は、遺産分割前の共有は解消し、単独所有か新しい共有となります。

 この分割は相続開始の時にさかのぼって効力を生じます(民法909条)。したがって、最初から分割してあったのと同様となります。ただし、第三者の権利を害することはできない規定ですから、分割前の差押えや共有持分の譲渡があった場合はそれを織り込んだ遺産分割協議をすべきことになります。また、遺産分割協議で、不動産を売却、あるいは一人の相続人が全部を相続し、他の相続人に金銭を支払う代償分割という方法もあります。

 遺産分割前の共有については、対抗要件としての登記は不要です。なぜなら、被相続人が死後に不動産を処分することはあり得ないし、相続自体は法的に当然のことですから、対抗要件はいらないのです。これに反し、遺産分割は人為的なものですから、共有持分の二重処分の可能性があります。したがって、遺産分割による交換的な権利の得喪については対抗要件としての登記が必要です。

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代表者名
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  • 税理士(H14年登録)
  • 行政書士(R3年登録)
  • 宅地建物取引士
略歴
  • 香川県立高松高校卒
  • 一橋大学商学部卒業
  • 筑波大学大学院企業法学修士
  • 三井不動産㈱勤務20年

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